自然に囲まれたNY北部に住む日本人が、現地の習慣や価値観等、日本とのあらゆる違いを紹介します。アメリカ留学、移住、旅行等、アメリカに興味のある人向けです。

日本語レッスンで意識していること

日本語をアメリカ人に教えていていて、ユーモアセンスが必要だな、とよく思う。日本での学校でよくある授業のように、教師が詰め込み教え続け、生徒は黙ったままのような、一方的な授業はあまり通用しない。
経験上、彼らは少しでも気になった箇所は私の話をさえぎって聞いてくる。そこでもし、きちんと理にかなう説明をしないと、こいつはだめだ、とそれ以降の彼らのやる気が失せてくる。そして一方的にテキストの内容を詰め込むのではなく、時折世間話やジョークなどで和ませ、日本関連の私の経験談などを取り入れると、たいてい上手くいく。
どちらかというと、アメリカ人は短距離走者のようで、集中する時はかなりするが、日本人ほどそれほど続かないようで、息抜き、ガス抜きの意味でリフレッシュさせてあげると授業に大変弾みが付く。そこで手っ取り早いのが笑いである。
これはアメリカ人の仕事でも大体当てはまるが、ガガガッと集中して、少し息抜きする。この繰り返しを無意識に彼らは望んでいるように感じる。笑いを取る、ユーモアセンスというけれど、それは普通の日本人には簡単にはできない。アメリカ流の話術の上達が必要で、アメリカのトークショーやコメディー番組をよく見て、どういう風に笑わせているのかまねたり、緩急をつけた授業展開を積む経験が必要だ。
例えば、生徒の一人が日本旅行をしてきた際、トイレの便器の多くがTOTOと書いてあって驚いた、とリフレッシュをしたそうに授業内容に逸れた話をしてきた際は、少し付き合ってあげる。ああ、そうですね、と単に相槌を打つのも悪くないが、しばらくロックバンドがトイレ便器を作っていると思っていた、などどジョークを言うと、ハハハハハ、と笑ってくる。愛想笑いでなく、面白いと笑わせる事ができれば、こちらの勝ちである。
例え世間話が長引いて今日の授業でやりたかったことが出来なくなり、予定が狂ったとしても、私的にはそれでもいい。笑わせた後の残りの授業は、生徒の理解力が高まる。そしてスムーズに進む。日本語教師であると同時に、コメディアンのようにどうやって笑わせてやろう、といつもタイミングをうかがっている自分もいる。